大学全体の研究活動について、研究戦略の企画・立案や、基礎研究の段階から社会実装に至るまで一貫した研究マネジメントを行うことにより、海洋分野の研究を推進するため、令和6年3月1日、産学・地域連携推進機構と研究推進委員会を統合し、創設されました。 第4期中期目標中期計画期間において、国立大学には社会的インパクトをより意識した研究の推進が求められることとなりました。すなわち、人材輩出や研究を通じた、我が国経済の再生及びイノベーションによる産業活性化や、新たな価値の創出による産業や地域の活性化等への貢献といった使命に加え、各大学が自ら再定義したミッションに基づく自律的・戦略的な経営により、社会変革や地域課題の解決を主導していくことが求められます。 本学においても、研究者の自由な発想に基づく研究への支援にとどまらず、基礎研究の段階から研究の社会的価値・経済的価値を見据えながら、大学として戦略的に研究を推進し、社会変革や地域課題解決に結びつけていくと共に、その考え方を全学で共有していくことが不可欠です。 このため本機構では、研究戦略の企画・立案・推進、研究支援方策の企画・立案・実施、研究に係る情報の収集及び分析、産学官連携及び地域連携、地域貢献及び社会貢献、研究成果又はその他活動成果の事業化を目的とした起業支援、起業精神に富む人材育成、機構の学内共用施設の運営並びに機構が運用するオープンファシリティーシステムに登録された機器の管理運用、共同利用等、知的財産、安全保障輸出管理その他リスクの管理、などに関する業務を行ってい きます。

海の研究戦略マネジメント機構の組織

◆各部門の主な業務

〇研究戦略推進部門

研究戦略の推進・実施、研究支援方策の実施、研究開発プロジェクトの選定・実施、研究シーズ把握、研究IR

〇産学連携推進部門

研究開発プロジェクトの部門横断的支援、外部資金獲得支援、研究営業、研究広報、共同研究マッチング、技術相談、オープンイノベーション推進、起業プロジェクト支援、起業支援制度利用提案、マーケティング調査、関連企業マッチング、共同利用機器管理・利用促進・技術支援、研究設備整備計画の策定、研究DX推進

〇知的財産管理・国際対応部門

知的財産の創造・保護・管理・活用、技術移転、リスクマネージメント支援(安全保障買易、生物多様性条約・ABS対応等)

特許等件数(令和6年3月31日現在): 保有件数 国内158件、外国50件  申請中の件数 国内88件、外国35件

◆機構組織に関係する採択事業

  • 文部科学省大学知的財産本部整備事業(平成15~19年度)
  • 文部科学省産学官連携戦略展開事業-戦略展開プログラム-採択(平成20~平成24年度 後のイノベーションシステム整備事業
  • 文部科学省科学技術人材育成費補助事業「科学技術人材育成のコンソーシアムの構築事業-研究支援人材育成プログラム-」採択(平成26~令和3年度)
  • 科学技術振興機構次世代研究者挑戦的研究プログラム採択(令和3年度~)

◆共同利用機器

産学連携推進部門では、各種研究設備、機器等について、学内外の教育研究活動における共同利用、学術研究・教育の活性化、並びに総合的な研究開発に資するような利用を推進しています。 以下、主な大型機器の詳細をご紹介します。

  • 船舶運航性能実験水槽
    昭和 56 年の竣工以来、船体の抵抗、推進、運動性能、操縦性能さらに海洋構造物や水産施設に関する実験を行なっています。長さ54m、幅10m、水深 2m の水槽には曳航電車、造波機、消波装置、回流装置を備えています。
  • 核磁気共鳴装置
    昭和 62 年に国内最初の高分解能マイクロ MRIとして 200MHz の装置が設置されました。平成 8 年には 400MHz の装置に更新されて、生理活性物質の高分解能 NMR 測定や多糖やタンパク質の拡散係数測定などに用いられています。最大 30T/m の磁場勾配を利用し、数ミクロンの細胞サイズの測定にも利用できるのが特徴です。さらに、平成 25 年には新たに固体高分解能測定が可能な 600MHz の装置が導入され、生体分子構造解析システムとして稼働しています。
  • 試料水平型多目的X線回折装置(XRD装置)
    X 線が原子周りにある電子により散乱、もしくは干渉することで起こる回折現象を解析することで、結晶サイズ、結晶構造、分子の三次元構造、成分の同定や定量、薄膜の密度や結晶性などを測定することが可能な装置です。食品、薬品、セラミック、触媒、有機薄膜、磁性材、半導体薄膜などの研究に使用できます。示差熱分析装置付属仕様となっているため、温度変化による X 線回折現象の変化を測定することも可能です。
  • 次世代シーケンシングシステム
    平成 13 年に設置されて以来、微生物や魚介類のゲノム解析、魚介類のトランスクリプトーム解析、魚介類腸内細菌叢の 16S メタゲノム解析などに利用されています。本システムは、本機器を用いた塩基配列の決定のみならず、解析に必要なサンプルの調製から、得られたデータの解析までを含んでいます。