食品生産業も経済活動である以上、適正な利益を出せなければ、持続的な生産を行うことは不可能である。利益を上げるためには、製品が高価格で多く売れることが理想的であり、そのためには、製品の付加価値を向上させることが有効である。しかし製品の付加価値を向上させるためには、生産コストの増大を伴うことが一般的であるため、コスト増大と得られる付加価値との費用対効果を見極める必要がある。しかし、付加価値を定量的に評価することが困難であるため、コストの増大を認めるか否かの判断は、経験と勘とに頼るしかないのが現状である。
本研究室ではこれまでに、環境経済学の分野で使用されるCVM(Contingent Valuation Method:仮想評価法)を用いて、食品の価値を定量化する研究を進めている。これまでの結果から、価値と品質とは必ずしも対応せず、製品に関する情報によっても強く影響を受けていると考えるに至った。本ポスターは、これを実証するために、米を対象としたアンケート調査を実行し、情報が価値に及ぼす影響の定量化を試みた結果である。この結果、「遺伝子組み替え」、「無農薬」、「20XX年産」などの情報による付加価値(マイナスの場合も含む)が金額で表されることが確かめられた。金額の値はアンケートの手法や対象によって変り得るが、このような手法の実用可能性を示したことが本発表の成果であると考える。