本研究では,海水中でバイオフィルムを付着させることにより,光触媒効果で電圧を得る微生物電池に関して,電池の出力改善のためカソード電極に付着するバイオフィルムの微生物相を調べ,電位上昇に寄与する微生物の同定を試みた。
実海水中に浸漬したステンレス鋼電極において,DLC皮膜は浸漬初期の電位上昇を高めるが,到達電位には影響しなかった。また,研磨状態やDLC皮膜の有無によるバイオフィルムの微生物相に違いは見られなかった。
さらに,バイオフィルムと海水中の微生物の群集組成を調べた結果,時季による相変化は両者で異なること,海水中の特定の微生物が電池形成に関与することが 明らかとなった。電池形成に関与する微生物として,Comamonadaceae科および Rhodobacteraceae科の真正細菌が同定された。

海洋微生物燃料電池の出力に関与するバイオフィルム中微生物の遺伝子解析

海洋微生物燃料電池の出力に関与するバイオフィルム中微生物の遺伝子解析