本研究は、「三次元重心検知理論(特許4517107)」の応用展開として、転覆の危険性が高い漁船を対象としたリアルタイムでの三次元重心位置およびGM(メタセンタ高さ)検知による漁船転覆防止システムの開発を目的としている。

漁船の転覆事故は、プレジャーボートを除く全転覆事故件数の約70%を占めている。船舶では、重心位置やGMに注意して操業すれば転覆防止効果がある。船舶の重心位置やGMは出航前の復原力試験等で推定できるが、漁船は操業の進捗により逐一重心位置もGMも変化するので、同試験の情報は実際には無意味となる。

そこで、操業中でもリアルタイムで三次元重心位置およびGM(メタセンタ高さ)を検知できるシステムを漁船に装着し、その検知結果が漁業者に随時告知されるようになれば、漁業者は転覆しないように安全に操船できるので、漁船の転覆事故を未然に防止できるようになる。

本研究は、平成23年度日本水産学会春季大会(3/27-31、於東京海洋大学品川キャンパス)にて口頭発表する。また、同学会会期中、品川キャンパス繋船場にて漁船転覆防止システムの公開試用会を開催する。

漁船転覆防止システム

漁船転覆防止システム