ホスファチジルセリン(PS)とドコサヘキサエン酸(DHA)は、脳において生理機能を発揮する物質として注目されている。このうちPSは、大豆のホスファチジルコリン(PC)から工業的に生産されたものが主に機能性食品素材として利用されている。さらに近年では、PSなどの分子内に二つの脂肪酸を有するリン脂質から脂肪酸を一つ外したリゾリン脂質の優れた機能性が期待されている。本研究では、リゾリン脂質のなかでもDHA結合型リゾホスファチジルセリン(DHA−LPS)を、ホスホリパーゼA1(PLA1)とホスホリパーゼD(PLD)を用いて調製する方法を検討した。DHA−LPSの調製方法は、PLA1とPLDの反応順序により2とおりが考えられる。そこで、2つの反応系路におけるDHA−LPS生成量の比較を行なった。酵素反応を組み合わせることでPCからLPSを産生する方法について、実際の調整条件の検討を行った研究はこれまでに無い。これら検討により工業レベルでのLPS(リゾホスファチジルセリン)の効率的製造が達成されれば、新しい機能性素材の安定供給の可能性を高めることから、興味深い研究成果であると考えている。

イカ由来リン脂質からのリゾホスファチジルセリンの調製

イカ由来リン脂質からのリゾホスファチジルセリンの調製